角丸加工は一般的にノートや手帳などで目にすることはありますが、角丸加工が施されている上製本ってなかなか見ないですよね。
手帳で言えば、有名なモレスキン(MOLESKINE)などで角丸のものがありますが、上製の角丸表紙は書店に行ってもなかなか見かけることはないと思います。
今回は、そんな角丸加工の技術について少しだけお話します。
はじめに
まず、芯ボールを角丸に加工します。
この芯ボールに表紙を貼っていくのですが、貼り方に2パターンあります。(もう1パターンあるようですが、ここでは2つ紹介します)
手法1:手作業で曲線に貼る
1つ目は、手作業で餃子の皮のようにいくつものシワを作りながら、曲線に沿った状態で貼っていく方法です。
こちらは曲線に沿って貼るのでとても綺麗です。ただ、手作業であるため量産したい本には適しません。また、当然ながら単価も上がります。
こちらの技術、最近ではこの作業ができる職人さんが全国でも数人しかいないようです。
(おかげさまで今まで以上に仕事が集中してしまい、お客様のご要望にもなかなかお応えするのが難しくなっている状況です)
手法2:機械作業で角を潰す
2つ目は、通常の貼り方で、機械作業で角を潰す方法です。
1つ目のシワを作って曲線に沿って貼る方法と違って、曲線が滑らかに表現できません。簡単に言うと、機械で角を潰してごまかしているのです。
ですので、表紙や芯ボールが厚かったり、またR(カーブ)が大きかったりすると、ごまかしが効かず綺麗にできません。
ただ、機械作業ですので量産も可能で、単価もそれなりに抑えられるというメリットがあります。
このように上製本の角丸表紙一つ取ってみても、貼り方にいくつか方法があったりメリットデメリットがあったりと、見えないところで色々なドラマがあります。
これから、もし上製本の表紙の角丸を見かけたら、今日のブログをちょっと思い出してみてください。すると、ちょっと見方が変わって面白いかもしれません。
(これは手作業かな?なんて想像してみるのも楽しいですよ!)
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