表紙がないよ。本文だけだよ。(アズマ綴じ並製)
仕上がりサイズ | 縦182㎜×左右128㎜×厚さ7㎜ |
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綴じ方 | アズマ綴じ並製 |
本文 | 48p(奉書紙 46/70k) |
背中クロス | 東京リネン(紫色) |
みなさんは、本の構造に疑問を持ったことはありますか?
「表紙」があり、「背表紙」があり、中に「本文」がある…
一般的な紙の本の構造はみな同じです。が、今回はそんな本の構造そのものを少し変えた本をつくってみました。
それでは本日のおはなしはこちらです。
第34回製本実験
製本サンプルとなる束見本。白でつくるのが基本ですので分かりづらい仕様で申し訳ないのですが…
真っ白な紙のかたまりに見えますね。
どんな本?
なんとこちら、表紙がありません。本文用紙を綴じて、背中にクロスを貼っただけのものです。
そして見えますでしょうか?めくった時にちょっとだけ膨らんでいる様子。実はこの本、本文が袋綴じになっています。袋綴じは、経本や和本と呼ばれるものの製本によく使用されます。ページ数が少ない本であれば、本の厚さを出すために袋綴じにすることもあります。ものを書く際、裏移りしないという点も袋綴じの特長です。
本文用紙には奉書(ほうしょ)紙を使用しました。綴じ方は開きのよいアズマ綴じ、180度開いて両手を離しても戻りません。B6サイズで片手に収まるサイズ、表紙がないので簡単に丸められます。ノートとしては最適だと思います。
奉書紙とは?
今回本文に使用している紙「奉書紙」ですが、身近なところだと御朱印帳などに使われています。今回の本のサイズはB6ですので、サイズも一般的な御朱印帳と同じですね。
…と思いながらも不安だったため調べてみたところ、なんと御朱印帳の基本サイズは大きく2つに分けられるそうです。
御朱印帳のサイズ
- 主流の大判サイズ/B6(縦182mm×横128mm):お寺や神社で販売されているものに多い
- 一回り小さいサイズ(縦160mm×横110mm):文庫本くらいのサイズで持ち運びに便利
その他にもより大きいA5サイズ(縦210mm×横148mm)やB5サイズ(縦257mm×横182mm)の御朱印帳もあるそうです。
(参考:千年帳 【御朱印関連情報】御朱印帳の選び方―御朱印帳の種類や選ぶポイント― 御朱印帳のサイズ 2024年5月2日)
これ以上語ると「あれ?ここ御朱印帳サイト?」となってしまいそうなので、とりあえず「へー、そうなんだ」くらいに思っていただければ。
紙のお話に戻りますが、奉書紙は和紙の種類の一つで、破れにくく強度が高いという特徴があります。障子紙や写経用紙、照明などにも幅広く使用されているようです。一概に和紙と言っても様々な種類がありますが、意外に身近なところで使われているんですね。
また、その歴史は古く、江戸時代まで遡るとされています。
奉書紙の歴史
「奉書紙」の言葉がはじめて登場する史料は戦国時代後期に興福寺大乗院の門跡であった尋憲が著した『尋憲記』元亀四(1573)年正月27日条の「奉書かみ」を越前で買い求めたという記事であり、このことから一般に奉書紙は江戸時代のものとされる。
(出典:Wikipedia)
400年近く前に生まれた紙が今でもいろんな場面で使われているなんて、なんだか感慨深いですよね。
さてさて、本日のおはなしはいかがでしたか?
今回は非常に簡易的な製本で、本文用紙を綴じて背中にクロスを貼っただけのシンプルisベストをつくりました。
丸められるのでノートに最適。一般的なノートよりもページ数は少なくなってしまいそうですが、敢えてページ数の少ないノートとして売り出すのもありかもしれません。
しっかりとした紙を使用すれば、スケッチブックとしても活躍しそうです。真っ白のノートに背中だけ紫色のクロス、ワンポイントでおしゃれな感じがしました。
それでは本日はここまで。
また次回のおはなしにてお会いしましょう!