リボンで閉じる、オリジナルの一冊(アズマ綴じ)
仕上がりサイズ | B5変形(縦139㎜×左右213㎜×厚さ11.5㎜) |
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綴じ方 | アズマ綴じ(背中に特殊な加工を施し、開きをよくしたもの) |
本文 | 96p(オーロラコート K/93.5k) |
見返し | オーロラコート K/93.5k |
表紙 | ワールドクロス No201S-61 墨田織 芯ボール:NPCC#20 |
皆さんこんにちは。
それでは本日のおはなしはこちらです。
第23回製本実験
どうでしょう。
本の小口側にリボン(紐?)をつけてみたのですが、それだけで無骨だったイメージの書籍が上品な雰囲気になったと思います。
どんな本?
リボンは表紙に平目打ちで切り込みを入れて、そこにリボンを通すだけという非常にシンプルなもの。ちょっと長めに見えますが、結ぶとちょうど良い感じです。
その後に糊を入れて機械で締めるので、リボンが厚いとその分跡がついてしまいます。……と、いうことを考えると、実際にこのデザインを採用するとしたら、できるだけ目立たない薄いリボンが良いかもしれません。
本体自体は特に変わった事をしているわけではなく、至って普通の上製本です。リボンもたまたま在庫のあったベルベット素材、幅24mmの太めのものを使ってみました。
表紙に使用している素材は隅田織という素材です。光沢がなく、落ち着いた雰囲気を出してくれます。
開いてみると?
開いてみると、普通のノートですね。
本文に使用したオーロラコートという用紙は、そのグロス感が特徴で、印刷再現性に優れています。あらゆる場面で活躍する紙です。
何ができる?
このように小口側にリボンがあるタイプは、日記やノートなど書き込む物ではよく見るものですが、一般書籍ではあまり見ないタイプ。確かに、読むだけの物にリボンを付けてもイチイチ結び直したり解いたりと手間がかかるだけですしね。
いや、最初からリボンだけをデザインとして……?でもそれだと紐である必要はなくなってしまうわけで、うーん、しっかり商品として流通できるものを考えるのって難しいですね…。
本の表紙には、今回使用した布クロス以外にも、一般的な印刷用紙やレザークロス、ビニールクロスなどがあります。
見た目の柄だけでなく、素材でも本の雰囲気が変わるので、目的に合わせた素材を選んでみるといいですね。例えばレザークロスに光沢のあるリボンなんて組み合わせてみたら、一気に高級感が出そうです。
こういった布クロスは専門書や文芸書の表紙に使われている印象が強いですが、ちょっと凝ったデザインの一部としておしゃれに使用するのもいいかも。
和風のクロスに和風のリボンももちろん合いますよね。和のものに洋を組み合わせるという試みは過去にも挑戦しましたが、やはり不思議な雰囲気を醸し出してくれます。
関連記事: 並製だけど上製の趣、和紙ノート(アジロ綴じ)
本日のお話はいかがでしたでしょうか?
リボンを付ける作業が手作業ですので数万単位の大量生産には向かない代物ですが、そういうところに価値があるのかもしれませんね。
目新しい用途を考えると中々思いつきませんが、どこか頭の隅にでも置いておいて、何か機会で閃いた際には採用してみてください。
それでは本日のお話はここまで。
また次回のお話にてお会いしましょう。