デザインで遊べる?角丸表紙は本文より小さくおしゃれに。
仕上がりサイズ | B6変形(縦190㎜×左右132㎜×厚さ12㎜) |
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綴じ方 | 糸綴り+寒冷紗貼り |
本文 | 160p(不明 46/70k) |
見返し | NTストライプGA黒 46/135k |
表紙 | サイズ:縦150㎜×左右104㎜(ストーンペーパー160μ) 芯ボール:NPCC#14 |
こんにちは。
さて、本日のお話はこちらです。
第17回製本実験
今回は、表紙が本文より小さい本を製本してみました。
大きさの違いが分かりやすいように表紙を白、本体を黒にしてあります。
ここまで大きさの違いがあると表紙はもはや本の顔ではないですね。
本体の腹巻のような、おまけのような存在に見えます。
どんな本?
一見シンプルそうに見えますが…今回のような本には製作上難しい点があります。
通常の作り方だと本体に糊を付けて表紙で巻きます。しかし今回は表紙が小さいため、同じように作ると、本体が糊だらけでついちゃいけない箇所まで糊まみれとなる恐ろしい現象が起きてしまいます。
そこで、今回は表紙に糊を付けて本体に巻いてみました!上手くいったので満足です。
表紙には角丸加工を施しています。角丸の半径の大きさによっても結構印象が変わりそうです。
栄久堂の製本技術は、<サービス・製本技術>ページで詳しくご紹介しています。
紙の種類はストーンペーパーというものです。ストーンペーパーは石からできており、一般的な合成紙と同じように強度があります。
ストーンペーパーも合成紙も、原料に木材パルプを使用していないため、森林資源の保護に繋がると考えられています。しかし、合成紙はポリプロピレン(石油由来)を主原料としているのに対し、ストーンペーパーは石を主原料とするため、よりエコフレンドリーであると言えます。コスト的にも合成紙の約4割のお値段とお安めです!
環境保全が重要視される今、モノを生み出す立場としては、どうすれば環境にやさしいものが作れるのか、を考えることがとても大切だと思っています。何かを製作する際、どの資源を使うのかという点もしっかりと考えたい部分ですね。
開いてみると?
開いてみるとこんな感じです。
本文には黒色の用紙を使っていますので、メタリックカラーや白色など、黒色に乗せて映える色を使う必要がありますね。
今回はなんとも珍しい風貌の本が出来上がりました。
最近はいろんな形の表紙がありますよね。いつか本屋で見た、カバーや表紙がない、背表紙がむき出しになっている本を見た時は、こんな試みをする人がいるなんて……!と驚きつつも感銘を受けたものです。やっぱり基本も大事ですが、既存の形にとらわれ過ぎないというのも大切なことですよね。
過去には、表紙と本文のサイズが更に大きく異なる本もつくっています。気になる方はぜひご一読ください!
遠目で見るとパンダのような配色ですね。パンダかわいい…
関連記事: 表紙の概念はいかに。(アズマ綴じ)
さて、本日のお話はいかがでしたでしょうか?
今回も何となく思いつきで作ってしまったサンプルですが、結構気に入っています。表紙の芯材も薄めで、おまけに角が丸くなっているのも柔らかさが表現されていて良い感じがします。
使い勝手も悪くなさそうなので、デザイン次第では結構面白いものになると思います。面白いもの好きのあなた、是非採用してみてください!
それでは本日はここまで。
また次回のお話にてお会いしましょう。