背継ぎ表紙—斜めに帯を掛けてみる
仕上がりサイズ | A6変形(縦144㎜×左右103㎜×厚さ21㎜) |
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綴じ方 | 糸綴り角背上製 |
本文+見返し | 136p(ハイマッキンレークラシック 四六135㎏) |
表紙 | クロス2種 芯ボール:NPCC#32 |
皆さんこんにちは。
今回の実験室は、表紙で遊んでみました。
皆さんには何に見えるでしょうか…?
どんなコンテンツの本に使えるか…ぜひ一緒に考えてみましょう!
それでは本日のおはなし始まります。
第41回製本実験
今回は、表紙に2種のクロスを斜めに貼ってみました。
少し朱色に近い赤色と、黒色の組み合わせです。
開いてみると?
表表紙と裏表紙に跨るように斜めにクロスを貼っています。開いて背から見てみると、黒い帯が斜めに掛かっていますね。
いろんな場面で活かせそうな、汎用的なデザインアイデアだと思います。
どんな本?
通常、背継ぎ表紙では、背中の部分だけ違う種類のクロスや紙を縦に貼りますが、今回は表1から背、表4にかけて斜めに貼ってみました。
背継ぎ表紙(せつぎびょうし)
装丁上の好みや表紙の補強のため、革や布クロス等を背と平の一部にかかるように継ぎ合わせて仕立てた表紙。背皮表紙、背クロス表紙がある。
(出典:製本のひきだし)
黒色のクロスがちょうど背中の真ん中にくるようにデザインしましたが、傾斜の角度がイマイチだったのか、バランスがいまひとつでした。色々角度をかえてみると、見え方が変わると思います。また、色の組み合わせによってもいろんな表情を見せることでしょう。
クロスは在庫のあったものを使用したため、赤と黒でクロスの厚みも異なる2種でした。そのため、重なる部分が目立つのが少し気になりました。重なる部分に関しては今後の課題と言えそうです。
何ができる?
この赤と黒の組み合わせ、なんとなく着物を連想させます。真っすぐに貼って、和風な柄のクロスを選べば、着物と着物の帯みたいにできそうだと思いました。
今回みたいに斜めに貼るなら、KEEP OUT(立ち入り禁止)のテープなども再現できそうです。黄色に黒字でKEEP OUTと入ったクロスがあれば…(どこに需要があるか分かりませんが)。
何枚か組み合わせて細く斜めの帯を交差させたりもできるでしょうか…。重なる部分に厚みが出てぼこぼこしてしまうとよくないので、実現は難しいでしょうか。
あとは、斜めにタスキが掛かったようにも見えますね。タスキデザインとして、お誕生日のアルバムなどに使うのはどうですか?(”Happy 6th Birthday”のように)
日本ではあまりお誕生日にタスキを掛けないかもしれませんが…、斜めのクロスを見てわたしはこんなの↓を連想しました。
お誕生日タスキと言えば、ちょうど先日、お友達のお誕生日をロンドンでお祝いしたのですが、彼女は朝から晩まで1日中タスキを掛けていました(笑)カフェに行くとスイーツをおまけしてくれたりして、気前のよいイギリス人から恩恵を受けていましたよ。
まあそれはさておき。
過去にも背継ぎ表紙で本をつくっています。とても鮮やかなイルミカラーを使用し、インパクトのある仕上がりになりました。ぜひこちらも覗いてみてください。皆さんの制作のヒントになるかもしれません。
関連記事: イルミカラーそれはとても眩しい色
さて、今回のお話はいかがでしたか?
大量生産で今回のように斜めに貼ることはできませんが、縦、横の直線であれば色々アレンジもできると思うので、今後また挑戦したいと思います。
今回は背を基準に表と裏に掛かるように斜めに貼りましたが、帯状にせずに上下で異なるクロスを貼ったりもできそうです。
カバーにこだわりたいというのはもちろんかもしれませんが、表紙にもちょっとした工夫を凝らすとなかなかオリジナリティに富んだものができますね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のおはなしにて、お会いしましょう!