ページをめくると広がる世界!全頁「両端折り」の本
仕上がりサイズ | A4変形(縦300㎜×左右220㎜×厚さ21㎜) |
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綴じ方 | アジロ綴じ並製+背中にクロス巻き |
本文 | 両端折×50台(上質紙 46/135k) |
見返し | 上質紙 46/135k |
表紙 | 黒色の紙(銘柄不明)+芯材NPCC#28 |
皆さんこんにちは。
少しずつ肌寒い季節になってきましたね。本格的に読書の秋が始まりそうです。
それにしても、何故「読書の秋」と言うのでしょうか?夏の厳しい暑さが和らいで、物事に取り組みやすい季節だから……というような理由を聞いたことがあるような気がしますが、実際のところはどうなのでしょう?
簡単に調べてみました。
「読書の秋」の由来
「読書の秋」の由来は、中国の唐時代の詩人 韓愈(かんゆ)[768~824年]が読んだ漢詩が元になっていると言われています。
…(中略)…
この漢詩から、「燈火(とうか)親しむべし」という言葉がやがて日本に伝わり、“秋の夜は灯りをともして読書をするのにふさわしい”というイメージになったと言われています。
(出典:日本速読解力協会)
なんと、中国の漢詩が基になっていた説があるんですね!
実際のところはどうか分かりませんが、これを由来の一つとする記事がいくつかありました。
娯楽の少ない時代、当時の人々にとって、読書という楽しみは詩に詠みたくなるような要素だったのでしょう。
それでは読書の秋に胸を踊らせながら……本日のおはなしにまいりましょう。
第64回製本実験
今回は、本を閉じていると一般的な書籍のようですが……
開いてびっくり。全ページが両端折りになっている本を製本してみました。
両端折りとは?
両端折りは、言葉通り、両サイドから中心に向かって紙が折り返されている折り方です。両サイドを開くと中面が見えます。両端折りは、「開き観音折り」とも呼ばれます。
以前の製本実験室で、同じように全ページ「両観音折り」の本をつくったことがあります。こちらは経本のように縦長につくったので、詩集や俳句集に向いたデザインとなりました。
関連記事: 書道や詩の作品集に、縦長・両観音折りの本
開いてみると?
文章の説明だけだと分かりづらいと思いますので、実際に本を開いてみましょう。
白いページだとイメージを膨らませづらいかもしれませんが……両端が折り畳めるようになっており、開くと中面が現れます。両サイドの窓を開くと、目の前に綺麗な景色が広がるような、そんなワクワクした気分にさせてくれます。
「中に何かが隠れているんじゃないか?」「別世界が隠れているんじゃないか?」と、いろいろな妄想を掻き立てられること間違いなしです。
たまに週刊誌などをみていると、袋綴じページなどで、すごくワクワクな気持ちになることありませんか?両端折りでは、袋綴じのように完全には中身が隠れませんが、似たような感覚です。
何ができる?
用途としては、やはり仕掛け絵本でしょうか。扉を開くことによって、何か一つの謎解きになるような、扉を開いていくことによって、どんどん問題解決していくような、そんなストーリー性のあるものが面白いかもしれません。パズルや、隠されたオブジェクトを探すような絵本でも、いろんな仕掛けに使えそうです。
アートや写真集の製本でも活かされそうなアイデアです。写真と文字を分けて載せたり、アートを開くと更に別のアートが現れる、といったような表現もできますね。
教科書や教育関連の本として、英語と日本語というような2つの言語を分けて載せる——原文があり、開くと訳文が確認できる——というような構造もよさそうです。
今回のおはなしはいかがでしたか?
外見では分かりませんが、開くとちょっと変わっている本のご紹介でした。
アイデアとしてはシンプルですが、いろんな場面で汎用的に使える製本アイデアだと思います。
今回も少しでも何かのヒントになれば幸いです。
また次回のおはなしにてお会いしましょう。