全面真っ黒+角を切り落とした本(アズマ綴じ並製)
仕上がりサイズ | B6変形(縦148㎜×左右122㎜×厚さ11.5㎜) |
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綴じ方 | アズマ綴じ並製(背中にクロス貼り) |
本文 | 96p(キンマリSW 46/135kg)※三方側面に黒塗り、角切 |
表紙 | チップボール#30 |
皆さんこんにちは。
最近は、電子書籍と紙の本、どちらを読むことが多いですか?
電子書籍が読まれているこの時代、紙の本をつくろうと考えておられる方は、紙の本であることのメリットや付加価値を与えるということを考えて製作していくことが大切かもしれません。
今回は、紙の本ならではのアイデアを用いて試作品をつくりました。
それでは本日のおはなしはこちらです。
第46回製本実験
今回つくったのは、真っ黒の本です。
どんな本?
表紙だけでなく、背にも黒いクロスを貼り、天・地・小口と、三方を黒く塗っていますので、外見は真っ黒です。
中身は白い紙を使っていますので、本はもちろん、ノートやメモ帳などにも使えます。前回に引き続き、本文は「キンマリSW」というものを使用しています。よく知られている上質紙の一つで、コート紙やマットコート紙と異なり、表面がコーティングされていません。落ち着いた発色で、目が疲れにくいため小説などにも使われる紙です。
綴じ方は今回もアズマ綴じ、開きがよいので、見開きページで表現したいものなどに適しています。
近づいてみると?
今回の一番の特徴は、角切の部分でしょうか。
通常、角丸と言って角を丸くする加工はよくあるのですが、今回は角を落としてみました。
角を落としただけで随分と雰囲気が変わるものですね。
何ができる?
以前、デザイン関連の本で、面白い本を見かけました。表紙がビスケットのデザインで、一つの角がビスケットをかじった歯形のような形になっているというものです。本文の用紙はクリーム色と茶色で、断面がビスケットのクリームの層のようになっており、再現性がとても高くて関心しました。なかなか斬新なアイデアで、角でこんな風に遊ぶのも面白いなあと思いました。
今回のように、角をザクっと切ることで何かを表現することができるかもしれません。例えば、うーん…なんでしょう?以前は尖っていたけど今は落ち着いたもの…とか?とてもフワッとしていますが(笑)時間の経過で生じた変化を見た目で表現する…といったような。
まあ、単純にオシャレかなあとは思います。角丸でなく、角を落とすというのは珍しいと思いますので。あとは、今回は三方を黒色で塗装していますが、金色や銀色などにしても美しいと思います。ゴージャスさやリッチな印象を与えるので、黒×メタリックカラーの組み合わせが好きです。
本の形や様相というものは、電子書籍で同じように表現できるものではないので、紙の本ならではの良さであると言えます。その本のコンテンツを表現する手段として扱うのと同時に、紙の本に付加価値を与えることができると思います。
製本実験室では、以前、本文が真っ黒の本(ノート)をつくりましたが、今回は中身は白色ですので通常の黒のペンで記入ができます。表紙はチップボールを使用しているため、ノートにするなら、表紙にポスカなどの太いペンでいろいろ記入してカスタマイズしても楽しそうです。
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今回のおはなしはいかがでしたか?
一般的な本の形にするのももちろん素敵ですが、せっかく紙の本をつくるなら、ちょっと変わった様相や表面の色使いにしてみるのもいいですよね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回のおはなしでお会いしましょう!