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ブックインブック 地側から見た様子

小説/学術書/アート作品集などのコンテンツに使える「ブックインブック」

仕上がりサイズB5正寸(縦257㎜×左右182㎜×厚さ15㎜)
綴じ方アジロ綴じ並製
本文(本体)96p(上質紙 46/70k)
本文(中綴じ)16p×2(上質紙 46/110k)
表紙ヌバテックス+アートポスト220kを表裏合紙

皆さんこんにちは。

少し前に表紙にヌバテックスを使った高級感のある本をつくりましたが、今回も表紙にヌバテックスを使ってみました。

ヌバテックス、手触りがよく、色味も綺麗で洗練された印象を与えるのがいいんですよね。

それでは本日のおはなし、まいりましょう。

                                                        ブックインブック 全体像

第62回製本実験

今回のスタイルは、ブックインブック(Book in book)と呼ばれる製本形式です。

一見すると普通の本ですが、実は、中に独立した2冊の本が挟まっています。

言葉通り、本の中に本があるスタイルですね。

取り外してみると?

早速、中身を取り外してみましょう。

参考書や問題集などでよく採用されていますが、一緒に綴じてある本の一部が取り外し可能になっています。例えば問題集だと解答部分だけが取り外せるようになっていたりします。

今回はそのスタイルで製本してみました。

巻頭と巻末の両方にそれぞれ16ページの厚さの本がセットされています。もちろん両方とも取り外しできます。

                                                        巻頭の1冊を取り外した様子

巻頭の1冊を取り外した様子

                                                        巻末の1冊を取り外した様子

巻末の1冊を取り外した様子

                                                        巻頭と巻末の2冊を取り外した様子

2冊とも取り外した様子

                                                        ブックインブック 地側から見た様子

天側から見た様子

どんな本?

表紙に使用したヌバテックスは、紙クロスですが革のような触感があるのが特徴です。少しヌメッとしており、革に見られるようなシワがあります。

ヌバテックス

特有のぬめり感がある、含浸タイプの紙クロス。革のようなエンボス加工が施されており、キズが付きにくいことが特長です。しっとりとした質感は高級感を演出したい時にぴったりです。

本体は開きのよいアジロ綴じを採用、取り外す部分の本は中綴じ(ホチキスのような針金で綴じてあるもの)で製本しました。

以前にも同じようにブックインブックの本(4冊綴じ)をつくったことがありますが、その際の本体はカバーのような感じで、取り外しできる4冊だけが本文となる仕様でした。

今回は本体にも本文が綴じてあり、かつ始めと終わりの2箇所が取り外しできる形です。

                                                        本を閉じた様子

外見は一般的な本

                                                        本を閉じた様子

ヌバテックスの表紙が高級感を演出します

                                                        巻頭と巻末の本を本体に戻した様子

中身を元に戻すとピッタリ、スッキリ

                                                        地側から見た様子

断面も綺麗に揃っています

何ができる?

ブックインブック、どんなコンテンツに相応しいでしょうか?

物語・小説

物語であれば、おまけとして、取り外し可能な部分をサブストーリーにしたりできそうです。また、アンソロジーのような、ショートストーリーを集めた作品集にも採用できそうです。その場合は、以前つくった、4冊綴じの本でもいいかもしれませんね。

複数の結末を持つ本なんていうのもどうでしょうか?最近よく流行ってますよね。某サブスクリプションでも、ドラマ内で自分が主人公になり、いくつかのオプションから選択していってその結果で結末が変わるというものがありました。まるでビデオゲームのようで面白かったです。

本でも同じことができると思います。メインストーリーで読者に選択肢を与える場面を作り、取り外しできる本ではそれぞれ異なる内容や結果を書く、といった具合にできますね。

学術書・アート作品

歴史に関する書物であれば、取り外し可能な部分にメインストーリーで言及された内容の典拠や関連する情報を載せることができます。

百科事典・参考書であれば、本体を広範なトピックに関する百科事典やレファレンスにして、取り外す本を特定のトピックに関するより詳細な説明に使うこともできそうです。

クリエイティブ関係の本であれば、本体に文学作品やアート作品を載せ、取り外し部分にその解説や批評を執筆するようなこともできますね。

今回のほんのはなしはいかがでしたか?

考えてみると結構いろんなコンテンツで使えそうな手法ですね。

巻頭と巻末に取り外し可能な冊子があることによって便利になったり、役立つようなコンテンツで、ぜひ表現の一つとして使ってみてください。

今回はいつもよりちょっとインパクト弱めの見た目ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでも何かのヒントになれば幸いです。

また次回のおはなしにてお会いしましょう。

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