表紙の概念はいかに。(アズマ綴じ)
仕上がりサイズ | 縦230㎜×左右230㎜×厚さ8㎜ |
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綴じ方 | アズマ綴じ+ハードカバー(角背上製ボール表紙) |
本文 | 40p(ホワイトエクセルケント 46/220kg) |
見返し | 色上質 特厚 水色 |
表紙 | 色上質 特厚 水色 芯ボール:#30 |
さてさて、みなさまお待たせいたしました。「ほんのはなし」のコーナーです。
実はこのコーナー、いろんな方面のデザイナーさんを始め、ご自身の写真をアルバムにしたい写真家さん、サークルなどで本をつくりたい方など、様々な方に読んでいただいています(ありがとうございます!)。
面白楽しい!いろんな本をつくっているので、ぜひ、デザインアイデアを膨らませるのにお役立てください。
それでは本日のおはなしはこちらです。
第29回製本実験
今回の本は表紙が本文よりも小さいです。
天地方向にだけ短い表紙ですので、カバーなしで帯のみ巻いているような形になっています。
どんな本?
何だか本が腹巻でもしているような感じに見えます。特に本体が230㎜×230㎜の正方形なだけに、真ん中に表紙が付いているのは、バランスがとれているようにも思えますね。
しかし今回の本、デザインや構想は面白いと思うのですがいかんせん製作に悩まされそうです。
上製本を作る際最後の工程である表紙くるみ。表紙くるみとは、冊子の製本方法の一つで、本文ページを重ねた背の部分に糊を塗って表紙と張り合わせる方法です。通常時であれば本文背面に糊を塗り、表紙を張り付けて合わせるのですが、今回の仕様ではそれができません。
今回の本でいうと、いつもなら
- 白い部分に糊を塗ります。
- 青い表紙を張り付けます。
完 成!
……と、なるわけですが……表紙が本体よりも圧倒的に小さいんです。つまり、本体に糊を付けてしまうと接着しない部分にまで糊が付くのでベッタベタ。あと純粋に糊がもったいないですね。
そこで、今回は表紙(青い部分)に糊を付けて本体(白い紙)と合体!したのですが、本体がまっ白で印が何もないのでどこに合わせるべきかが悩みどころです。実際に印刷する時は目印になるようなものがないと実用性はなかなか難しそうですね。
表紙をめくってみると?
表紙をめくってみるとこんな感じです。
外側から見える本文の最初と最後のページも表紙という扱いにして、タイトルやクレジットなどを入れてみるのも面白そうです。
ほぼ思い付きで作った割には、デザイン次第で色々発展していけるように思いました。
表紙を開きます
見返しは表紙と同じ紙を使用しています
開いてみると?
今回は開きのよいアズマ綴じ、本文用紙にはホワイトエクセルケントを使用しています。
ケント紙は紙の厚みがあり、表面がなめらか、光沢があることが特徴の用紙です。
何ができる?
今回の本、表紙を閉じた状態でも本文が見えるので、表紙と合わせて絵になるようなデザインにしても面白いですね。表紙をめくると隠れている部分が現れる…みたいな…。
制作面においては(いつも通り)課題も多い今回の仕様でしたが、まぁある意味でそれが本造りの醍醐味というものですよね。そうだと思います、思いたいです、思いましょう。
過去には、表紙と本文でサイズの違う本ではなく、大きい紙と小さい紙を合わせ、本文のサイズが違う本をつくっています。こちらもぜひご一読ください。
関連記事: 本文サイズの違う本(アジロ綴じ並製)
はてさて、今回のほんのはなしはいかがでしたか?
少しでも皆さまの制作のヒントになれば幸いです。
それでは本日はここまで。
また次回のおはなしにてお会いしましょう。